小さな主人と二人の従者
 そのとき魔女は高らかに笑っていた。『白輝の実』を手に入れたことに満足した魔女は油断して、ガラスケースに入れておいただけだった。
 魔女の願いはただ一つーーこれからもウィルと一緒に暮らすことだった。
 誰かに先に食べられてしまうことなんて、夢にも思っていなかっただろう。

「次に『虹色の鏡』は魔女が昔、魔法具の店で買ったんだよ」
「高額の商品に見えたよ?」
「うん、値段は聞いていないけれど、かなり高かったみたい」

 魔女は欲しいと思ったものは何が何でも手に入れる性格で、魔女が家にあるお金を集めても、鏡の半額しかなかった。
 ところがある日、鏡を売っている者から魔法薬の依頼を受けて、鏡を手に入れた。
 薄暗い裏通りにある魔法具を扱っている店で、他の店にないものや怪しいものまで売っているから、その店に足を運ぶことは危険。

「どうして大事に置いておいたの?」
「それはねーー」

 ジュリアが『白輝の実』の力で森にいたとき、ウィルは数分間、正気を取り戻していた。その間に割れた鏡でジュリアを見つけようとしたのだが、それができなくて、割れた鏡を隠すことにした。
 魔女に見つからないようにするために。

「それにしても、いくら俺から逃げたかったからって、偶然聞いた『白輝の実』を食べた上に『虹色の鏡』まで壊すんだから」
「かなり焦っていたから」
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