小さな主人と二人の従者
 仮に『白輝の実』が毒を含んでいたら、ジュリアはこうして生きていない。
 考えると、とんでもないことばかりしていた。

「話が変わるけれど、俺がいない間、ギャレットとケネスと家でも学校でも一緒にいたんだよね?」
「そ、そうだよ」
「寝るときも一緒?」
「うん・・・・・・」

 ギャレットが変なことをしないようにケネスも同じ部屋で寝ていたから、心配することはなかった。そのことを伝えても、ウィルは渋い顔をしたままだ。

「ウィルお兄ちゃん?」
「これからも一緒に生活するの?」
「そうだね・・・・・・」

 ウィルは前髪を掻きながら、椅子に座り直した。無防備な妹に何て言おうかと、ウィルは悩んでいた。

「ジュリア、今はまだ恋人がいないけれど、もしも、できたときにその相手が他の男と一緒に生活していることを知ったら、どう思うだろうね?」
「そんなの・・・・・・わからないよ・・・・・・」
「まだ先の話だけれど、それは忘れないでいるんだよ」

 ジュリアとウィルは部屋を出て、モナ達のところまで廊下を歩き進んだ。
 モナ達に会うまで、ジュリアはウィルに言われたことをひたすら考えていて、頭から離れなかった。

 --あれから十日が経過した。
 今日はブリジッド市で祭があるので大賑わい。ジュリアはミラベルと一緒に市中を見物して回っていた。

「いいの?ギャレットさんやケネスさんと回らなくて・・・・・・」
「後で合流することになっているから」
「ブリジッド市に来たのは久しぶりなの・・・・・・」
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