小さな主人と二人の従者
 ミラベルの視線がジュリアから別の方向へ変わった。同じように見ると、エリーが複数の男性に話しかけられていた。ジュリアが助けに行こうとしたときにウィルが走ってきて彼らを追い払った。
 エリーが先に気づいて、ジュリアに微笑んだ。通りかかっている男性までエリーに注目している。ウィルはエリーの肩を抱いて、遠ざかるときにヒラヒラと左手を振った。エリー達はそのまま角を曲がって行った。

「二人とも素敵だよね」
「本当に。うっとりするよ」
「私達も行きましょうか?」
「そうしよう!」

 早めの昼食を食べたばかりだが、一口サイズのカステラの甘い匂いが漂っていたので、買うことにした。
 カステラは個数が決まっていて、一番少ないものにした。近くのベンチで座って食べていると、ケイティとルースが歩いてきた。

「あれ?お前らも来ていたんだな」
「相変わらず仲がいいね」
「お前らもな」

 ケイティがカステラをじっと見ていたので、二人にも分けて、祭のことでケイティ達と喋っていると、ポップコーンを歩きながら食べている小さな子ども達がケイティに向かって走ってきて、抱っこを要求してきた。
 どうやらさっきまでこの子ども達と空を飛び回って遊んでいたようだ。

「わかりました。ルース、行きましょう」
「ああ。そうだ、エヴァンや他の奴らも祭に来ているぜ。その辺歩いていたら、会えるから。じゃあな」
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