小さな主人と二人の従者
 ぬいぐるみの前に赤みがかった黒髪の男性が彼と同じ髪の色をした小さな女の子と手を繋いでいる。ジュリアが見ていると、彼がジュリアの視線に気づいて振り向くと、カーシーだった。

「ジュリア、ミラベル。君達も来ていたんだね!」
「祭があることを聞いたからね。妹さん?」
「そうだよ。ほら、お姉ちゃん達に挨拶して」
「ジューン・・・・・・です。六歳」

 ジューンはカーシーの背中に隠れてしまった。彼女の行動から見て、人見知りするタイプ。目元がカーシーにそっくりだった。
 カーシーはジューンを前に出そうと、手で小さな背中を押している。

「ジューン、何を恥ずかしがっているの?」
「可愛いわね」
「ごめんね、慣れると普通に話す子なんだ」

 カーシーとジューンも百貨店を歩き回っていて、ジューンがぬいぐるみや小物が置いてあるこの店に足を止めていた。
 今まさにどれにするのか、迷っていたところだ。
 ジュリアが好みのものをジューンに質問すると、白いうさぎが好きだと教えてくれた。ジュリアは白い毛糸で編んだうさぎのストラップを見つけた。ワンピースを着ていて、耳に花の飾りがついている。ジューンに見せると、気に入って、カーシーに見せている。カーシーはそのまま商品を買って、それをジューンに渡した。

「ありがとう、ジュリア」
「何もしていないよ」
「俺だけだったら、もっと時間がかかっていたからね」
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