小さな主人と二人の従者
　一人の男性がエヴァンに殴りかかろうとしたときに彼の腕がエヴァンと違う方向に曲がった。操族の力で曲げられていて、男性はひたすら痛みに悲鳴を上げている。

「他も来るかい？これよりもっとすごいことをしてほしいかい？」

　さらなる恐怖を味あわせるためか、エヴァンの瞳の色が蜂蜜色から血のような赤い色に変化していた。昔からエヴァンが怒ると、とてつもなく恐ろしい。
　男性達が逃げるように去った後、ジュリア達はモナ達のところまで走った。

「モナ！大丈夫！？」
「ジュリア！大丈夫かな。エヴァンが僕のことを助けてくれた、ありがとう」
「いえいえ、久しぶりだね、モナ」
「本当だね、エヴァン」

　モナとエヴァンはジュリアを通じて知り、友達になっていた。ミラベルはモナのことを知らなかった。

「彼女はジュリアの友達？」
「そう、君がミラベルかな？」
「そう、どうして知っているの？」
「えっとね、ジュリアに何度も君の事を聞いていたからかな」

　ジュリアはモナにミラベルのことを話したことはない。彼女を知っているのは黒猫の姿になってジュリアの様子を何度も見にやってきたから。
　エヴァンを見ると、瞳の色はもう蜂蜜色に戻っていた。
　嫌なことを忘れるためにみんなでクレープを食べに行くことにした。
< 259 / 269 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop