小さな主人と二人の従者
　西街区の居酒屋でギャレットとケネスは酒を酌み交わしていた。ケネスは酒に弱いので、ほとんどアルコールが入っていないものを飲んでいた。ギャレットは酒に飲まれるようなことはなく、つまみを食べながら酒も味わっていた。

「ギャレット、俺達がジュリアを迎えに行かなくていいのか？」
「本人が待っているように言い張っているのだから、それまでここにいようよ」
「お前は酒を楽しみたいだけだろう？」
「そういう場所だからね」
「来たな」

　窓にジュリアの姿が映ったので、ギャレットが先に外へ出て、ケネスはポケットにある紙幣を取り出して、会計へ向かった。

「ジュリア嬢！会いたかった！」
「ずっと酒を飲んでいたの？」
「まあね。それより、それは何？」

　ジュリアが持っているピンクの袋に赤いリボンが結ばれた包みをギャレットが見ている。ジュリアはくまのぬいぐるみが入っていることをギャレットに伝えた。

「俺が払いたかったな」
「だったら、さっきの酒代を払えよ」
「ケネス、おかえり」

　酒をたくさん飲んだのはギャレットなのに、ケネスが支払いを任されて、ちょっと不機嫌になっていた。
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