小さな主人と二人の従者
　とんでもない者達に気に入られ、家に招き入れてしまった。それを後悔しても、今更だった。
　朝食を食べ終えてから、出かける準備をするために部屋へ戻った。

「なあ、あの実を食べると・・・・・・」

　見計らってケネスがギャレットに耳打ちをした。

「自分の大切な何かを失うんだよ」
「ジュリア様、何も知らずに食べたんだな。ジュリア様が失ったものは恐らく・・・・・・」
「記憶」

　ギャレットは静かに言った。

「よほど焦っていたんだよ。あの鏡を割ったのも、絶対に捕まりたくないからやったことだろうしね」

　ギャレットもケネスも鏡のことも知っていた。二人が話をしているときにジュリアが走ってきた。

「どうかした？ジュリア嬢、そんなに慌てて」
「その服はどうしたの？」

　彼らが着ている服は家にないもの。それをいつ、どうやって手に入れたのか疑問になった。

「今朝、知り合いに頼んだら、もらうことができた」
「頼んだら？」
「あ、手紙を書いて飛ばしたら向こうが来てくれたんだ。家には入れていないから」
「当然だよ！」
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