小さな主人と二人の従者
 二人からしたらその人は顔見知りかもしれないけど、ジュリアにとってはそうではないのだから。

「俺はずっとジュリア嬢の寝顔を見ていたよ」
「ずっと?」
「うん」

 ギャレットに寝顔を見られたことを知り、顔を赤らめた。

「退屈だったでしょ?」
「そうでもないよ。ジュリア嬢の寝言を聞いていたから」
「嘘!何を聞いたの!?」

 ジュリアが寝言を言うことはある。言っていたとしても、何を言っているのかわからないから安心していたのに、ギャレットの満足そうな顔を見ると、不安で胸が押しつぶされそうになる。

「お菓子を食べ損ねて落ち込んでいたよ。それとぬいぐるみを抱きしめて左右に転がりながら、ケーキのおねだりをしていた。それにぬいぐるみに満足したら、俺に抱きついたよ」

 ジュリアはポカンとして、開いた口が塞がらなかった。彼の記憶も消したかった。この記憶は削除するべき。

「最悪・・・・・・」
「これからは毎日二人で寝ようね」
「一緒に寝るなんて無理!」
「どうして?」

 恋人を作ったことが一度もないジュリアにとって、これほど刺激的なことはない。
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