小さな主人と二人の従者
 命令に従わず、足に力を入れて質問を投げた。

「ど、どこへ?」
「嘘を吐く悪い子にはお仕置きが必要ですから」
「嫌よ!」
「待ちなさい!」

 長い廊下を走って、適当に部屋の中へ逃げた。部屋の外で足音が響いていて、それが遠ざかるまでじっとすることにした。音が遠ざかったので、部屋から出たときに誰かとぶつかってしまった。

「すみません!大丈夫・・・・・・」

 言葉が続かなかった。目の前の人物を見て硬直した。顔を布で覆っているが、髪や瞳の色はわかった。葡萄色の髪、ターコイズブルーの瞳、父よりも背が高く、堂々としている男性。魔力を放っているので、ジュリアは次第に恐怖で全身を震わせた。手を伸ばされて、逃げ出そうとするものの、彼にあっさりと捕まり、逃げようと腕に噛みついた。そのせいで彼の怒りを買ってしまった。

「いい度胸だね」

 そのとき地震が起こって遠くから悲鳴が聞こえた。どうやら侵入者が入ったようで、揺れは爆発が原因らしい。彼がふらついて隙ができたので、遠くへ行くために床を蹴ってひたすら走った。誰にも見つかってはいけないので、もう一度魔法で姿を隠した。足音を消して、屋敷の外へ行こうと思ったときに部屋を通り過ぎようとして、足を止めた。願いを届ける花がある部屋だった。ドアが大きく開いていたので、誰もいないことに安心して中へ進んだ。
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