小さな主人と二人の従者
「制服、もしかしてこれ?」
「そうだ。だったら、学校にいる生徒達のことも忘れているのだろうな」
「そんな・・・・・・」
「ミラベルちゃんのことは記憶にある?ミラベル・リヴァース」

 ギャレットはジュリアが記憶に残っているかどうか確認した。
 ジュリアと同じ魔族で、彼女の顔も声も性格も記憶に残っている。

「記憶にあるよ。ギャレットとケネスは私の同級生なの?」
「違う、上級生だな」

 年齢はケネスもギャレットも二十歳だとわかった。ジュリアは十六歳だ。

「そもそもジュリア様と話をしたことは一度もなかったな」
「ギャレットは?」
「数回程度の会話ならあるよ。可愛い女の子には声をかけずにはいられないからね」

 ナンパ感覚に声をかけていたのだろうかと不安が残った。

「今からでも魔法学校へ行けば、何か思い出すことができるかな?」

 授業についていくことができるのだろうかと不安がよぎる。

「焦る必要はないと思うよ?いずれ行かなきゃいけないから、そのときに記憶の欠片を取り戻しに行こうよ」

 ギャレットが言ってくれたおかげでちょっとだけ落ち着きを取り戻した。
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