小さな主人と二人の従者
 部屋にもう一つ珍しいものを発見した。それは卵形の鏡で自分の姿ではなく、海を映していた。知り合いが過去に外の世界を見せる鏡があることを教えてくれたことを思い出した。仮に外へ出ることができても、これがあればすぐに居場所を突き止められてしまう。そうなってはまずいので、鏡を頭の上まで持ち上げて床に力いっぱい叩き割って粉々にした。次に誰も来ない間に花の実が入った蓋を開けた。

「私の願いは今すぐこの屋敷から出ること!」

 花の実を食べると、部屋中が光に包まれて双眸を閉じた。鳥の鳴き声にそっと目を開けると、森の木陰に座っていた。

 ーーここはどこ?
 さっきのは夢だったのだろうか?

「私はどうして・・・・・・」

 そもそもどうしてあんな場所へ行っていたのか思い出そうとしても、思い出すことができなかった。

「どうして思い出せないの?ん?」

 水の音がしたから急いで森を抜けるとそこは大きな海だった。夕日が溶けていくようにゆっくりと沈んでいくところでその光景に見惚れていた。あの鏡はこの海を映していた。

「願いが本当に叶った!」

 海に触れたくなって下へ行こうとすると、森の中から枝を折る音が鳴った。ジュリアはそっと小さな声を出した。
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