小さな主人と二人の従者
 先生に伝えたら、他の生徒達にも一瞬にして広がってしまうのではないかと不安にもなっている。
 それは避けたかった。味方のふりをして、敵である者も決していないとは言うことができないから。

「話したいときに話せばいいよ。今がそのときでないと思うなら、話さなくていい」
「俺達は同級生ではないけど、力になれることはいくらでもなるから」
「うん、二人ともありがとう」

 お礼を言いながら歩き続けると、目の前に大きな扉があった。

「ここは?」
「今、開けるからね」

 ギャレットが扉を開けると、そこは大広間だった。

「この大広間は生徒や先生が食事をするための場所だよ」
「他にもイベントのときに使用されることがあるな。ちなみにこの隣は厨房となっている」
「厨房と繋がっているの?」
「そうだよ。それに厨房にはジュリアちゃんが好きな者がたくさんいるよ」
「好きな者?」

 誰のことを言っているのかわからなかったので、ますます気になった。

「行ってみる?」
「行きたい」

 ジュリアが厨房の扉を押しても全然動かなかった。逆に引いてみても同じだった。
 何度やっても開くことがない。
 今は調理中だから立ち入り禁止なのかもしれない。
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