小さな主人と二人の従者
 この青年と知り合いだったかと、頭の中を回転させた。とりあえず適当に言った。
 目の前の青年が誰なのか、本人を前にして教えてもらう訳にはいかない。
 どうしよう、彼の名前が思い出せない。

「おいで、お菓子がたくさんあるから一緒に食べよう?」
「うん、食べる」
「どうして初めて来たような顔をしているの?」

 彼に手を引かれながら中を見渡していると、ジュリアを不思議そうに見つめていた。
 しまった。つい、辺りを見回してしまった。
 彼と話していると、冷や汗が出てくる。

「いえ、あの、久しぶりだったから」
「それもそうだね。一番最初に来たときに俺が夢族だということを知って、少しずつ距離を置かれて・・・・・・」

 悲しそうに見つめられて、返事に困った。夢族というものは知っているが、詳しい力のことは記憶にない。
 それは記憶喪失になったからなのか、なる前からなのか。

「またこうして俺のところへ来てくれる?」
「もちろん、これからそうするね」

 彼と話をしていて、嫌な感じはしなかった。
 返事を返すと、きつく抱きしめられた。それでもジュリアが苦しくならないように加減をしてくれている。
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