小さな主人と二人の従者
「そろそろ名前で呼んでくれる?」
「カーシー、そんなにきつく抱きしめたら声が出せないよ?」

 ギャレットが彼の名前を発してくれたから助かった。

「おっと、ごめん」
「ジュリア、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。カーシー」

 名前を呼ばれて彼は嬉しそうに笑って、猫のぬいぐるみの姿をした妖精が菓子と紅茶を運んできてくれた。

「どうぞ」
「ありがとう。ううっ・・・・・・」

 カーシーがジュリアの異変に気づいて、ジュリアの顔を覗こうとした。

「ジュリア、どうしたの?」
「もう・・・・・・無理・・・・・・」
「何?」
「我慢の限界・・・・・・」

 我慢ができなかった。ぬいぐるみの可愛さに負けて、その場で抱っこしてしまった。

「あ!ちょっと!」
「可愛い」

 フワフワしていて可愛過ぎる。お持ち帰りをしたい。

「あっちへ行かせて?」

 他のぬいぐるみ達がせっせと何かを作っている。

「駄目、嫌」
「こらこら」

 すぐにでもお持ち帰りをしたい。
 できることなら、ここにいるぬいぐるみ全てを自分のものにしたい。
< 47 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop