小さな主人と二人の従者
 カーシーはジュリアの額を触ってから、前髪を触った。正面からではわからなかったが、横や後ろから見ると彼は髪を一つにまとめていた。他とは違う独特な雰囲気がある。

「このリボン、誰かにもらったの?」

 カーシーの手は手首に巻いているジュリアのリボンに滑り落ちていた。

「セリーナ先生からもらったものなの」
「だからだね。力が宿っているのは」
「わかるの?」
「そりゃあ、俺もここの生徒だからさ」

 セリーナ先生からこのリボンをもらったのはジュリアがまだ六歳だった頃に魔獣の群れに囲まれて、先生が助けてくれたときにお守りとしてくれたもの。何の力があるのかなんて聞かされていなかった。
 それはジュリアも聞いていない。

「どんな力?」
「強い魔力だろうけど、それ以上はわからない」

 先生から言われたことはこれを肌身離さずに持っていることだけだった。その約束を今でも守り続けている。

「俺が君に何かを贈ったら、それ以上に大切にしてくれる?」
「うん!大切にするよ!」

 カーシーは目を見開いてから、すぐに笑った。

「それじゃあ、また今度用意しておくことにするよ」
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