小さな主人と二人の従者
 ジュリアの笑顔が明るくなった。
 だけど、何でも欲しがるのは良くないことだと、自分に言い聞かせた。

「もらうばかりだったら申し訳ないから、カーシーも欲しいものがあれば言って?」
「欲しいものね・・・・・・」

 カーシーが欲しいものが何か気になる。
 数秒間カーシーは真剣な顔で考えていた。答えを待っていると、カーシーは双眸を閉じた。

「今は思いつかないや。見つかったら言うことにするよ」
「わかった。私達、そろそろ行くね?」

 ぬいぐるみ達がこっちを見て、手を振ってくれた。ジュリアも手を振り返した。

「楽しかったよ。またね」
「またね、カーシー」

 ここである問題が起こった。扉を開けるときにドアノブの鈴で開けようとしたが、それがなかった。ジュリアはパニックになっていて、明らかに挙動不審だった。
 ケネスが前に出てドアノブを回すと、普通に扉が開いた。

「ぬいぐるみ達と別れたくないからって、ここにいつまでもいられないだろう」
「ほら、行くよ」
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