小さな主人と二人の従者
 決して首を縦に振ろうとはしなかった今より痩せているように見える。
 ゼリーだって嫌いではない。
 スプーンも渡されて嫌そうな顔をしたまま、ゼリーを口にした。それを見たミラベルは安堵の溜息を吐いている。
 食べ物を食べることはジュリアにとって、大きな楽しみの時間でもあるのに、早く食事の時間が終わらないだろうかと時計ばかり気にしている。
 こんな辛そうに食べている自分の姿が信じられなかった。

「本当にどうしちゃったの?」

 その質問に返事を返そうとせず、ジュリアはただ黙って俯いた。

「誰かに何かされたの?」
「私、何もできない・・・・・・」

 その問いかけにジュリアの指先が僅かに動いた。声を出すのがやっとといった感じ。

「どういうことなの?ジュリア」
「馬鹿だった上に無力だったの」
「ジュリア?」

 無力。その言葉が心に響いている。
 唇を噛みしめて涙を堪えていると、ミラベルはそっとジュリアの頭に手を置いた。

「私にできることはないの?」

 質問を返さないから、沈黙になった。
 ミラベルの隣に誰かがいる。その誰かを見たとき、記憶の中のジュリアは手を震わせていた。
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