小さな主人と二人の従者
 突然、何も見えなくなり、頭に痛みを感じて目を開けると、ミラベルが驚いた顔でこちらを見ていた。

「ふらつく・・・・・・」
「ジュリア!」

 コップに手がぶつかった。水が零れて、ジュリアも椅子から落ちそうになったときに誰かに腕を掴まれた。

「大丈夫?ジュリアちゃん」

 声の主はギャレットでケネスは膝を曲げて同じ質問をしてきて、何とか頷くことができた。

「医務室へ行く?」
「ジュリア、どうしちゃったの?」

 ミラベルは駆け寄り、ジュリアの額に手を当てた。

「医務室へ行かない。ちょっと目眩がしただけだから」

 もう少しでもっと何かを思い出すことができるはずだったのに、誰だかわからないままになって霧のように消えてしまった。

「ジュリア、目眩って・・・・・・」
「ちょっと休んだら平気・・・・・・わっ!」

 ギャレットに横抱きにされたので、首に腕を巻きつけた。

「強がりを言わない。ミラベルちゃんだって心配しているんだから。行くよ」

 大広間の扉をケネスが開けると、ミラベルが追いかけてきた。

「あの、私も・・・・・・」
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