小さな主人と二人の従者
「俺達がジュリアちゃんの面倒を見る」

 そう言い放って早足で外へ出て行った。ミラベルはもう見えないのに、ギャレットは全然降ろしてくれない。

「ギャレット、降ろして」
「どうして?」
「目眩がしただけで、気分は悪くないから」

 本当はそれだけじゃない。
 周囲に誰もいなくても、誰かの視線があるような気がする。

「何か思い出した?」

 ジュリアは何も言えなかった。
 つまり肯定を意味している。

「ミラベルとどこかで会話をしていたの。ただ、小さくて何を話していたのか聞き取ることができなかった」

 咄嗟に吐いてしまった嘘。本当はどこでどんな会話をしていたのか思い出しているのに、それをギャレットにもケネスにも言わなかったのは先にミラベルに確認したかったから。

「記憶の欠片集めは難しいね」
「だけど少しずつ思い出している」

 いつか全部思い出したい。
 そんな日が本当に来るのだろうかと気持ちが沈んだときに大切なことを思い出した。

「二人に言うことがあったんだ!」

 ジュリアの大声に二人は驚いていた。

「言うことって何?」
「どうした?」
「今週の土曜日、私はいない」
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