小さな主人と二人の従者
 ギャレットが無表情になった。

「どこへ行くの?」
「ミラベルと二人でセーラまで遊びに行く約束をしたの」
「俺も行く」
「駄目。女の子同士の買い物なの」

 ギャレットが不機嫌になっても、彼を見ていないジュリアには効果はない。

「私はミラベルと二人で行くの。もう決定事項」
「ジュリアちゃんがいない間、俺達は留守番?」
「二人も好きなとこへ出かけていいよ」

 そこまで自由を奪うような真似をするつもりはないから。

「遅くなったら駄目だよ?暗くなる前に帰ること」

 ギャレットの心配性は二十歳に思うことができなかった。父親と同じくらいに思えてくる。

「わかっているよ。また別の吸血鬼に捕まったら怖いからね」
「懐かれたら引き剥がせないだろう?」

 現在がまさにその状況だ。
 何度か家から出て行くように行ったことがあるが、彼らは決して言うことを聞かなかった。

「ケネスも遅くなったりしないから信用してよ」
「信用している」

 言っていることと表情が一致していない。

「やっぱり俺も行くよ」
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