小さな主人と二人の従者

「ギャレット、ジュリア様を心配しているのはわかった。けれど、これははっきり言えばやり過ぎだ。ジュリア様、札を持っているよな？それがあれば大丈夫だろ」
「ケネスは無責任だね。たったそれだけで本当にそう言い切れるの？」
「魔法だって使うことが可能だ」

　全部を持って行かせることを無駄だと悟ったケネスはズボンのポケットからキーホルダーを出した。

「とっても可愛いね！」
「これは防犯ブザー。せめてこれも持っていて」

　ピンクのうさぎのぬいぐるみのキーホルダーでしばらく鼻歌を歌いながら見ていた。

「ジュリア嬢、うさぎは寂しいと死んでしまうから、ときどき声をかけて可愛がってね」

「もちろん、そうする！」

　うさぎのぷっくりとした頬を撫でながら、今度は洋服のことを考えた。

「何を着ようかな」

　ギャレットが服を買ってくれたおかげでかなり増えたから、どれにしようかと迷ってしまう。

「服選び、手伝うよ」
「うん、お願いするね」