小さな主人と二人の従者
 そう言ったことを後悔したのは金曜日の夜だった。洋服ダンスから何着も服を出してジュリアが選んだ服を見せると、ケネスはあっさりと賛成してくれるのに、ギャレットが反対ばかりする。

「何の嫌がらせよ!何を着せたいの!?」
「俺は真面目に悩んでいるんだよ」
「これだって問題ないでしょ!?」

 どれもギャレットが買ってくれた服だから、文句を言うことは筋違いだった。

「そんなことない。誘拐されたらどうする気?」

 ギャレットのこういうところを見て、ジュリアは苛立ちが抑えられない。

「このワンピースだって、ギャレットが買ってくれたでしょ!?」
「それは俺と出かけるときに着ていい服だから」

 勝手にギャレットの規則を作られていた。

「明日だよ!そろそろ寝たいよ!」

 ジュリアとギャレットの間にケネスが入った。

「ギャレット、従者が困らせてどうするんだ?俺達と違って、ジュリア様は睡眠が必要だ」
「じゃあ、これを着て行って」

 手渡された服はピンタックがぎっしり施された白いブラウスとジーンズ。それにベルトを加えることでメリハリが良くなる。

「やっと決まった」
「本音を言うと、それも・・・・・・」

 ギャレットが何かを言い出す前に、出した服を片づけておやすみの挨拶を二人にしてからベッドへ行った。
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