小さな主人と二人の従者
約束
 約束の日、指定された場所で待っていると、ミラベルは走ってきた。

「待たせてしまった?ジュリア」
「ううん、来たばかりだから」

 ジュリアとミラベルは互いの服を褒め合った。

「あのね、ミラベルと話がしたいと思っていたの」
「話?それならどこかで話を聞くわ」
「先にミラベルの行きたい場所へ行こう。話は食事のときにでもいいかな?」

 短時間で終わる話ではない。
 長くなる話であることを告げると、ミラベルは受け入れてくれた。

「わかったわ、そのときに聞かせてもらうわね」
「どこから行く?」
「アロマキャンドルを売っている店があるから、そこから行きましょう」

 店は北口の階段を上ったところにあった。数十種類のアロマキャンドルがあり、すぐに目を奪われた。

「綺麗ね。ミラベル、この店ってこんなに奥にあるのね」
「最近見つけたの。普段は北口まで行くことはないけれど、いい散歩になると思って歩いていたらこの店があったのよ」
「そうだったの。何これ?リードディフューザー?」
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