小さな主人と二人の従者
「ミラベル、買ったよ」
「ジュリア、アロマキャンドルを買ったの?」
「そう、リードディフューザーはちょっと高かったから」
「他にも何か買ったよね?」
「アロマ石鹸だよ」

 ハニーの香りがする石鹸と迷ったものの、ジュリアが買ったオリーブの石鹸が安かったので、ハニーの石鹸を諦めた。

「ミラベルはたくさん買ったよね?」
「こういう小物は好きなのよ。ここだと邪魔になってしまうから、後で見せるわ」
「アロマキャンドルはもっと値段が高いイメージがあった」
「この店は安かったわね。高い商品だと、ジュリアが買った商品の十倍以上するものもあるわね」
「十倍以上!?」

 恐ろしい値段に何も言えず、全身が固まってしまった。ミラベルは苦笑いをしながら、ジュリアの手を握って次の店へ向かった。
 カフェレストランに着いたときには十二時を過ぎていた。他の客が大勢いてもおかしくないのに、意外に少なかった。ここは緑に囲まれていて、爽やかな光が差し込み、明るくて清潔感があり、ゆとりのある空間となっている。

「ミラベル、さっき買ったものを見せてよ」
「ちょっと待ってね」
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