小さな主人と二人の従者
「それで彼は私にどんな夢を見せようとしていたの？私にとって怖い夢？」
「そこまではわからないわ。中庭で見つけたときにはジュリアはカーシーさんから距離を置いていたから」
「その後はどうしたの？」
「私の手を引っ張って、教室へ向かったわ。何があったのか問い質しても決して口を開こうとはしなかった」

　もしかしたら、そのとき自分は何を見るのかわかっていたから、拒絶をしたのかもしれない。そのときカーシーと何か話をしたのかもしれないのだ。だから彼に直接聞くと怪しまれてしまう。

「ミラベルは彼に夢を見せられたことはある？」
「いいえ」
「彼が誰かに夢を見せて、その人を怒らせたことはある？」
「それもないわ。悪い方ではないもの」

　性格は悪くない。だったら尚更、自分の警戒心について疑問を抱く。

「前に言っていなかったかしら？彼は常に色香を放っている上に年下の女の子が好きだから苦手だということを」
「さあ？彼は華族のようだと最初に会ったときは感じたよ」

　華族とは誰もが美しく、あらゆる者を魅了する力を持っていて、好きな相手を誘って思考を麻痺させることができる。力を抑えようと思えば、抑えることだってできる。
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