小さな主人と二人の従者
「他の女の子と違う態度だったから、彼に気に入られたのね」
「それは・・・・・・警戒していたってことだよね？」
「そうよ。それと彼を怒ったこともあるから」

　それが一方的なのか、彼が怒らせるようなことをしたからなのか、どちらだったのかすら記憶が飛んでいる。

「カーシーさんの噂がたくさんあって、気に入った女の子にキスをするという噂を耳にして、それが真実かどうか確かめに行ったときに下級生の女の子の頬にキスをしているところを目撃したでしょ？」

　ジュリアは曖昧な返事をするのがやっとだった。

「女の子がどこかへ行ってから、カーシーさんは傍にいたジュリアにまで手を出そうとしたからかなり焦ったわ。キスをしようとした彼に強い抵抗を見せた上に彼の行動に対して叱っていたから、叱られた彼は驚いて固まっていたの。ジュリアがいなくなってから、すぐに大声を上げて笑っていたわ」
「それがカーシーに気に入られた理由？」
「恐らくそう考えられるわね」

　上手く理由が結びつかない。ジュリアが彼の立場だったら、驚くだけで終わっているだろう。
　足音が鳴り響いてその方向を見ると、店員が二人分の料理を持ってきた。
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