小さな主人と二人の従者
 血を吸われてしまいそうになったことは隠しておくことにした。そうしないと、今後一緒にいることを必ず反対されてしまうから。

「ねえ、ケネスさんのことをよく知らないけれど、どんな方なの?」

 ミラベルはケネスについて話を聞こうとしている。

「ケネスはクールでしっかりとしているね。甘いお菓子が好きなところにはちょっと驚いたよ」
「私はまだきちんと会話をしたことがないから」
「彼も吸血鬼だということを知ったときは怖かったよ」

 間近であの黄金色と鋭い凶器を見せつけられたときは腰が抜けそうになった。

「彼もそうなの?ギャレットさんもそうよね?」
「うん。でも、彼らは吸血衝動を抑えることができるみたいなの。それにこうして私達と同じものを食べることだってできるから」
「ギャレットさんが飲み物を飲んでいる姿しか見たことがないから、どう受け止めたら良いのかしら?」

 ミラベルもジュリアのように戸惑っている。

「何度も何かを食べているところを傍で見たからかな。違和感を感じなくなったの」

 簡単に言えば、慣れてしまったということ。

「ジュリアは周囲の方達を引き寄せる力があるわね」
「そうかな?」
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