小さな主人と二人の従者
 ジュリアからしたら、ミラベルがその力を持っているように思う。

「そうよ」
「私は何も特別なことをしていないよ?」
「ジュリアはそのままで良いの。偽った自分を見せられたら何だか寂しくなるわ」

 偽りを見せる気なんてない。友達や家族など、自分にとって大切な存在の前で自然になれる。

「あの、ミラベル・・・・・・」

 まだ聞きたいことがあるので、恐る恐る名前を呼んだ。

 ロールキャベツを残り一口食べると、皿は空になるところだった。

「どうしたの?」
「前まで私の元気がなかったよね?一緒に大広間で食事をしたときに誰かが話しかけに来た?」

 食事をしていると、何人か生徒達に話しかけられる。思い出した記憶の中でミラベルが話しかけようとした相手が特定できる可能性は低い。

「誰のことかしら?何人かジュリアを心配していたから」

 やっぱりこの方法は悪かった。もう少し絞ることはできないだろうかとジュリアは考えていた。

「セリーナ先生は食事以外のときも何度かあなたに話しかけていて、それに他の方達も・・・・・・」
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