小さな主人と二人の従者
「とんだ災難だったね。二人とも」
「ギャレット!」
「それにケネスもいますね」
「いつからこんなに接するようになったんですか?」

 二人がタオルで拭き終わると、ケネスが淹れた紅茶を飲んで一息吐いていた。
 また最初に戻った気分になった。ジュリアが声を発する前にギャレットが話した。

「結構前からだよ」
「それはおまえだけだろ?」
「学校が始まる前に困っていたところをジュリアが助けてくれた。そのときから彼女と接するようになったんだ」
「そうだったのか。こいつは世話好きだけど、自分が世話をされることは好まない天邪鬼だぜ。な?」

 余計なことを話すところは気に食わない。

「あの、急に押しかけてすみません。雨がましになったら、すぐに戻りますから」
「いいよ、ゆっくりして」

 むしろそういう態度はここにいる吸血鬼達にしてほしいと心から願った。彼らはジュリアの家を出る以外だったら、何でも言うことを聞いた。

「二人はどうして外にいたの?ひょっとしてデートかな?」

 ルースはその言葉を聞いて、紅茶でむせたせいで咳が止まらなくなって、ケイティはルースの背中をさすっている。
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