小さな主人と二人の従者
「お、お前な、そういうことを軽々しく言うなよな」
「だって二人は仲が良いから、てっきりそうなのかと思っただけだよ」

　ギャレットは悪びれる様子はなく、紅茶を飲んでいる。

「もっと強くなるために鍛えに行っていたんだよ」

　ルースはギャレットに武器が見えるように持ち上げた。

「頑張るね。ケイティちゃんも鍛えていたの？」
「途中までは一緒にやっていました。それから私は昼食にパンを買っていたんです」
「昼食を食べ終わってしばらくしたら大雨が降ったんだ」

　家の中は奇妙なくらいに静まり返っている。ケイティが窓の外を見ていて、まだ雨は降り続けていると思ったときに閃光が走って雷が鳴った。

「ルース・・・・・・」
「大丈夫だ」

　ケイティは小動物のように縋りつくようにルースを見上げる。
　恐怖でしがみつくケイティにルースは優しく背中を叩く。それを見たギャレットは口笛を吹いて囃し立てている。

「うるせぇぞ！愉快に口笛を吹くな！」

　苦笑いしていられなかった。ジュリアも雷は恐怖の対象だった。

「あれ？ジュリアちゃん、さっきから何も言わないけど、もしかして怖い？」
「怖くない」
「その割には震えているな」
< 80 / 269 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop