小さな主人と二人の従者
 ジュリアだってできることなら、そうしたかった。

「ジュリア嬢、話をしない?気が紛れるかもしれないよ」
「少しだけなら。どんな話が良いの?」
「今日の話を聞かせてよ」
「いいよ」

 ミラベルと話した内容や食事をした場所などを話して、記憶を取り戻すために話した内容だけ避けることにした。

「それでね・・・・・・今度・・・・・・」

 眠気がジュリアを襲い掛かり、もはや何を話しているのか自分でもわかっていなかった。
 まもなく何も話さなくなったジュリアをギャレットが呼びかけるが、完全に眠っている。

「本当に無防備」

 これが自分以外の誰かだったら、ひどいことをされている可能性が高い。

「悪戯をされるよ?あるいは・・・・・・」

 それ以上は言わなかった。ジュリアの目元に涙が浮かび上がっていたので、それを舐めると甘い味が口の中に広がった。

「甘いな」

 抵抗しないことを良いことに抱きしめると、ジュリアはギャレットの背中に手を回したので息が止まった。

「本当にこのご主人様は・・・・・・」

 ギャレットは眠っているジュリアを飽きることなく見つめていた。
 頬に触れるとぬくもりが伝わって髪を撫でると、頬擦りをしてきた。
 苦笑いをして、ジュリアの香りを堪能しながら意識を話した。

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