小さな主人と二人の従者
 ギャレットの腕から抜け出そうにも未だに力を緩めないので、それができなくて困惑する一方だった。

「昨夜は甘い夜を過ごすことができたね。ジュリア嬢」

 いつものからかいで上手く言い返したいのに、彼のペースにはまってしまう。

「お前、俺が風呂に入っているときに何をしていた?」
「さあ?」
「ケネス、部屋に来たときに彼は私に何かしていた?」
「寝ていた。今のようにしっかりとジュリア様を抱きしめて」

 頬を染めて体温が上昇しているのを感じながら、ケネスから視線をはずした。

「朝食の準備が整って・・・・・・ギャレット」

 さっさとジュリアから離れるようにケネスが注意をしても、ギャレットは何もしようとしない。

「おい、お前も食事はまだだろ?冷めるぞ」
「やだ」
「ギャレット、顔を洗いに行こう?」
「だから嫌なの。もっと一緒に寝よう?」

 人を怠惰にするつもりなのかとジュリアはギャレットを責めたかった。
 言うことを聞かないギャレットの胸を強く押すと、ギャレットが顔を覗き込んでくる。
 紅い光が揺れていて力が抜け落ちそうになっていると、ケネスが両手を強く叩いた。
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