小さな主人と二人の従者
「やめろ。さっさと顔を洗いに行け」

 ジュリアが数回瞬きをしていると、ギャレットは残念そうな顔をしながら洗面台まで向かった。

「あんまり隙を見せるな」

 ケネスはジュリアを起こして部屋を一緒に出た。ジュリアが歩いていると、髪を濡らしたままで台所へ行こうとするギャレットを止めて、彼の顔をタオルで拭いた。自分も冷水で顔を洗うとすっきりして気持ちが良かった。空腹の知らせが鳴り続けているので、両腕で押さえつけながら、二人が待つ台所へ行った。

「おはよう。ジュリア嬢」

 さっきまで眠そうにしていたギャレットが元気に挨拶をした。

「おはよう」

 今日の朝食はマッシュルーム入りオムレツとチキンソーセージ、メープルブレッド、ベーコンとポテトのサラダ、ミネストローネ。ケネスは料理が得意で何を食べても、とても美味しくて母の料理の味に似ていて、たまに恋しくなるときがある。

「どうぞ、ジュリア嬢」

 ギャレットがいつも椅子を引いてくれて、絶妙なタイミングで椅子を戻す。彼らがここに住み始めた頃には何度やっても、タイミングがずれていた。

「メープルブレッドが気に入ったみたいだね」
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