小さな主人と二人の従者
　ジュリアが夢中になっているメープルブレッドは全体的にふんわりもっちりとしていて、メープルシロップの甘みが広がっている。
　美味しそうに食べるジュリアを観察して、ギャレットやケネスも思わず笑顔になる。

「ジュリア嬢、ついているよ」

　ギャレットが口元についた蜂蜜を拭い、ジュリアは次にチキンソーセージを齧った。

「食べているときは会話がないな」
「ふふっ」

　ひたすら食べることに集中しているジュリアをギャレットはじっと観察している。小さな手でフォークを持って食べ物を運んでいるところや忙しそうにしている口、食べる度に見開くダークブラウンの瞳、絹のように流れる栗色の髪、飲み物を飲むときに動く喉。

「ギャレット、手が止まっているよ？」

　もうほとんど食べ終えるジュリアと違って、ギャレットの朝食はまだ半分も残っているので、不思議そうに見つめられた。

「ミネストローネ、口に合わなかった？」

　昨日ジュリアが作ったミネストローネをまだ一口しか食べていなかったので不安を覚えた。

「違うよ。かなり熱かったから少し冷ましていただけ」
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