小さな主人と二人の従者
　ケネスの顔は真っ赤になっていて、それ以上何も言わなくなった。ギャレットは何が気に入らなかったのか、機嫌が少し悪くなっていた。
　食事の後に準備をして森へ行くと、すぐに獲物はたくさん現れた。剣を振ろうとする度にギャレットが魔法でまとめて始末してしまう。

「一人でかっこつけないでよ！訓練にならない！」
「ジュリア嬢の背後を魔獣達が狙っていたから。あ、まだいるね」

　これではギャレットのレベルだけが上がることになる。ギャレットを恨めしく睨みつけていると、強い殺気を感じて剣を構えると、重い剣をぶつけられた。
「ジュリア様、俺が相手になる。向こうへ行くか」
「ケネス！？」
　ギャレットにとって意外な行動だったのか、魔獣を倒しながらケネスを見ていた。
「よろしくね」
　それから数時間ジュリアは体力も時間も考えないで剣を向けた。力の差は歴然としていても、ジュリアは必死にケネスにぶつかった。

「ケネス、付き合ってくれてありがとう」
「どういたしまして。またいつでも言ってくれ」
「ずるいよね、ケネスは。ジュリア嬢の相手をずっとしていたから」
「吸血鬼相手にかなり頑張ったな」

　でも、まだ力が弱い。もっと強くなる必要がある。
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