小さな主人と二人の従者
 ジュリア達は森を抜けて、海道を通り過ぎたところにある村の飲食店『海風亭』で休んでいた。

「強くなることは簡単じゃない。俺だってもっと力を求めている」
「ケネスも?」
「そうだ。俺だって守りたいものはあるんだ」

 真剣に本音で話すケネスの強い想いがジュリアの心に強く響いた。

「二人とも、貰ってきたよ」

 明るく歌うような声でギャレットは二人の間に入って飲み物を配った。

「はい、天然水」
「ありがとう」

 さっきまで涼しかったのに、暴れたから逆になっていた。

「汗がすごいね」

 ジュリアの額が汗を拭ってから、天然水を飲み干した。

「喉が渇いていたんだね」
「そりゃあね」
「お腹は空いていないか?」
「あんまり空いていないよ。二人は?」
「ジュリア嬢の血が俺を呼んでいるよ」

 ゆっくりとジュリアの腕に顔を近づけてくるから、ケネスに助けを求めると、前に立ちはだかってジュリアを背中に隠した。

「そんなにケネスにくっついていると、ケネスが怪我をするよ?」

 ギャレットの脅しを聞いて、前に出ようとしたジュリアを腕で制した。
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