小さな主人と二人の従者
「これはレモネードですよね?この方がこれを持ってきたときに虫に気づいてもおかしくないのに、どうして半分以上も減っているときに気づいたのですか?」

 ジュリアの質問に女性達は顔を青くした。レモネードは薄い色で外からグラスの中は丸見えになっている。だから彼女達が後から気づくことはおかしいということになる。

「こんなに減っているのはさっきこの女にかけたからで・・・・・・」

 もちろんそんな言い訳は通用しない。

「一口も飲んでいないのですか?」
「飲んでいないわ!唇を近づけていない!ねぇ?」

 他の女性達も彼女が飲んでいないことを主張した。

「だったらおかしいですね」
「今度は何よ・・・・・・」
「はっきり言いなさいよ」

 居心地が悪くなったのか、彼女達の声が小さくなっている。

「飲んでいないのでしたら、どうして口紅がグラスに付着しているのですか?」

 グラスにはオレンジ色の口紅が付着していて、それを店員も確認した。

「本当、付着していますね」
「いや、これは・・・・・・」

 言い逃れができなくなっていき、ついには黙ってしまった。
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