小さな主人と二人の従者

秘密

　午前の授業が早めに終わり、昼食を済ませたジュリアは一人で図書館にいた。足を運ぶ度に本の数の多さに圧倒されながら奥へ進んでいくと、前から読みたかった本があったので手を伸ばした。休日にミラベルと本屋へ行く予定だったのに、悪天候になってしまったために中止にしたから、見つけることができて喜んでいた。他にも何かないかと書物を漁ろうとしていると、階段を上ってくる足音を耳にして振り向くと、カーシー・フロストが現れた。

「君も来ていたんだね。ジュリア」

　ジュリアはカーシーの笑顔にちょっと見惚れてしまった。

「ジュリアに言わなきゃいけないことがあったんだ」
「何？」
「前のテストを受ける前に高得点が取ることができたら、君が欲しがっていたものを買うことを約束していたでしょ？」
「うん。もし、取ることができなかったら、どうするのだった？」
「君のことをもっと知るために休日はずっと一緒にいることだよ」

　記憶喪失になっていない自分が目の前にいたら、正座をさせて説教していたところだ。

「いつも以上に勉強をして、見事に高得点を取ったから。君にとって苦手な分野も含めてね」