桜涙


 「えーっと、何々…御来場してくださった方に申し上げます。ここは年に一度だけしか御入場できません。何故かといいますと沖田総司のファンが墓石を削って持ち帰るなどとした事がおきていますのでどうか御理解下さい。…だってよ。どうする?」


 「どうするって…」


  せっかくここまで来たのに沖田総司の墓を参らずに帰るなんて、そんなの嫌に決まってるじゃん。


  でも、入れないなら仕方ないな…


  「帰るしかないね…帰ろうか」

 
  私は悔しいがどうすることも出来ないので帰ろうとした。


  だけどその時。

 
  「なぁ、裏まわってみないか?見えるかもしれないだろ?」


 
  流石翔汰。


  そんな事全然考えもしなかった。


  「うん!!行ってみたい」

  
  私は翔汰にアヒルの親子のようについて行った。


  墓地は意外に狭くすぐ裏についた。

 
  裏は表に比べて柵は低くすぐに乗り越えられそうだった。



 


 

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