桜涙




 
  私達はただひたすら歩いた。


  けれども町はまだなく、たださまよっているだけだった…


  「翔汰…疲れたよ…」 


  「あぁ…」


  翔汰と会話らしい会話をしなくなってきた…


  私が話しても『あぁ』や『うん』としか応えてくれなかった…

 
  太陽は沈み冷えてきた…


  寒い…
 
  
  夏服ではだいぶ肌寒かった…


  「なんだ…あれ?…」

  
  翔汰が指差した先にはほのかに光り輝いているものが微かに見えた。


  寒さのあまりに幻でも見たのかな?…


  あれは幻?…


  いや、違う。


  よく見てみると何かが微かに光り輝いている…


  「翔汰!あれはきっと町だよ!行ってみよう。」


  


  
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