桜涙




  私は上を見上げてみた。
    

  するとそこには30代ぐらいの男の人が2人立っていた。


  袴は少し着崩されており、年のわりにはチャラく感じた。


  「はい…何ですか?」

 
  私は恐る恐る訊ねてみた。


  「お前はん、こんなとこで何してはんねん。早よ家に帰りなはれ。この辺は怪しい奴がいっぱいおりはるから。」


  「あ、はい。わかりました。」


  なんだ、思ったよりいい人たちだ。


  「なぁ、お前はん。その格好何なんや??この辺では見かけやんけど…」


  「あの、これは、その…制服です。」


  「制服?何やいそれは?」


  男の人たちは首を傾げていた。


  制服は制服なのに何で分からないんだろう…


  「えっとですね…これは学校に行く時に着るものでして…」


  私は精一杯説明したが男の人たちはあまり分かっていない様子だった。

  
  何で分からないんだろう…


  当たり前の事なのに…


  この人達は学校に行ってなかったのかなぁ?…


  「なぁ、お前はん。少しだけ見せてくれまへんかぁ?」


  男の人たちの目線が少し変わったような気がした…



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