桜涙
「愛ちゃん、ここが屯所です。中に入りましょうか。」
「はい。」
新撰組の本に載っていた写真と同じ建物が建っていた。
写真と同じと言っても見かけは写真よりも綺麗で木などが少なかった。
そして、沖田総司は私を屯所の中に連れて行ってくれた。
入ったら近くにあった扉から誰かが出てきた。
私は彼の後ろに隠れた。
「沖田さん、どこ行ってたんですか?沖田さんは今日非番じゃないですか。近藤先生も心配なさっていましたよ!」
「すみません。散歩がしたかったので少し前の通りに…」
沖田総司はあははっと頭の後に手を回して笑っていた。
「なんで散歩しに行っている人に血が付いているのですか??やっぱり見回りに行っていたのでしょう!」
私は沖田総司を見た。
そしたら、確かに袴の裾のあたりに血がほんの少しだけ付着していた。
この人は結構鋭い人なんだなぁ…。
「あ、それはこの子を助けるために…」
沖田総司は後ろに隠れていた私を見せた。
「初めまして、こんばんは。早乙女 愛と言います。」
私は頭をぺこりと下げた。