仮物語
彼女が泣く理由。
彼女の涙の訳を、僕は知っていた。
彼女には、大切な人がいた。
名前は紫苑。
2人は“恋人”だった。
恋人の2人は毎日幸せそうで、毎日笑顔だった。
でも…数日前から紫苑はいなくなった。
近所の人によると紫苑は“亡くなった”そうだ。
その日から、彼女は泣いた。
毎日、毎日泣いた。
そんな彼女が痛々しくて悲しくて…
紫苑は、それだけ大事な人だったということが見てわかった。
―それでも、好きだった。