ドロップキック【ワタシとアイツ】
「お待たせ!」


少し走ってきたせいか、息が乱れながらアイツに声をかけた。


ちょっと走っただけなのに、こんなに息が乱れるなんて…これでも一応、スポーツ選手なのに。


「よっ!…やっぱりその格好の方が良いよ。」


組んでいた足をほどき、そう笑いながらアイツは言う。


「そうかな?」


ワタシは思わず照れてしまった。


「うん!よし行こう!」


そっと、アイツは座っていたガードレールから立ち上がると、ワタシのか弱い腕を掴み、急に歩き出した。

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