水中少女(短編)

「え、あ、あ、マジっすか、それでどうしたんすか…？」

激しく狼狽する修太を見て思わず笑ってしまう。
すると、修太は不貞腐れたように、

「本気なんすよ、てか、深春さんクラスの人たちと仲いいんすね、友達居ないイメージです」
「失礼ね、いるわよ、まあ、告られたのは意外かもしれないけれど…」
「美人だから、そこは全然意外じゃないです」
「また、あんたはそんなこと言って…何も奢らないわよ？」

深春は、からからと笑いながら、修太から視線を外すと、不意に手首を引っ張られて、また視線を強引に戻される。

「本気です、」
「え？」

じりじりと修太に迫られて、背中に壁があるのを感じた。
相変わらず、綺麗な目だと思う。迷いのない、痛いほど真っ直ぐな深春が苦手な目。

「本気で、綺麗だと思うし、好きなんです、深春さんが」
「私は、得意じゃないの、そういいうのが…っ」

捻くれ方を知らない、真っ直ぐ過ぎたその言葉に思わず深春は目をそらす。

「人の気持ちって、重くて、意味わかんなくて、息苦しいの！」