水中少女(短編)
「目を、そらさないでください」

修太がそう言って、深春の頬に触れ、こちらを向かせた。
顔が近い。心臓が掴まれたみたいに、胸が苦しい。

「深春さん、告白って、どういう返事したんですか?」
「…断ったわよ…」

心の奥まで見透かされそうで、息が詰まる。

「重いと感じて、息が詰まるのは、深春さんがきちんとその人の気持ちを受け止めて考えているからです」
「市原く…」
「もしも、あなたが、僕を好きだと言ってくれるなら、呼吸の仕方を教えてあげます、」

深くて、綺麗な目が深春を捕らえる、
心臓が早鐘のように鳴っている。

体が熱を持っているようにあつくて、

「好きです、深春さんは?」
「…好きだとか、わからないの…」
「僕のことで、真っ赤な顔してるだけで、好きって言ってるみたいですけどね、」

「え…?」
「嫌いですか?」

修太は心配そうにふと、深春を覗き込んだ。
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