桃色☆クローバー
そんな事を思い出していると聖は無言のあたしを怪奇そうに見ながら返答を待っている。


あたしは慌てて返事をした。


「戻る。」


一言そう言うと聖は手首をつかんだまま扉を開いた。

中にはいるとさっきよりも大分人が増えていてたぶん、100人以上いると思う。

そんな人混みの中聖はそのまま歩き続けるのであたしはまだ捕まれたまま聖に付いていく。


と、聖は部屋の隅にあるカウンターにたどり着くと、ウェイターに何か話しかけている。


黙ってその様子を見ていると聖はあたしの腕を離すとウェイターからグラスを二つ受けとり、左手に持っている方をあたしに渡してくれた。


ありがとと受け取って一口飲むと甘いアップルジュースだった。


泣いて水分が足らなくなっていたのかあたしはゴクゴクと一気に飲み干してしまった。


すると聖は少し笑ってもう一杯ウェイターに頼んでくれた。


ありがとうとお礼を言うと聖は笑顔を返してくれる。

聖は自分もジュースを一口飲むとまたあたしの手を掴んだ。


けど、今度は手首じゃなく手を捕まれてドキッと心臓が跳ね上がった。
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