桃色☆クローバー
「はいぃ?何言ってんの!違うよ、だいたいセイ君は彼女いないし!」

え!彼女いないの?
あんなに素敵なのに?
なんでだろ?


でもとにかく・・・なんか・・・凄い世界だな・・・漫画みたいじゃん。
信じられないけど美香が言うんだもん。事実なんだろう。
・・・アタシせっかく好きな人ができたのにな・・・

彼女いないのは良かったけど・・・
先輩に近づいたらファンクラブの女子達にいじめられちゃうなんて、、、


せっかく、せっかく・・・・

仲良くなりたい的な事も言ってもらえたのに・・・



はぁ、、

一気に気分が沈む。

アタシは深い深いため息を吐いた。




「蓮美さん。なんか呼んでるよ。」

え?

肩を軽く叩かれて振り替えると同じクラスの男子がいた。
名前は・・・まだ覚えていない。すいません。


「ほら!あそこ」


アタシは彼が指差した方を見た。



・・・彼が指差したドアには数人の女子生徒。見た感じ一年生では無いことは容易にわかった。派手な化粧にくるっくるの巻髪。いかにもお嬢様ですみたいな雰囲気を醸し出している。


・・・何だろ?
アタシ知らない人だけど・・・


「げっ!出たぁ!櫻田薫子!」



・・・!?



美香今、櫻田薫子って言った??!


それって・・・

もしかして!
あれが・・・・
葉澤先輩ファンクラブのメンバー!?


「桃ちゃん!行っちゃダメ!」

「ね、ねぇ、どの人が薫子?」

「えっとねぇ、あの」

「蓮美桃香さん、いらっしゃらないの!?」


ギクッ!



ちょ、ちょっと!!
そんな大声でやめてよ!




クラスが一気に静寂に包まれる。


ちょっと、ちょっと!!
みんなこっち見ないでよ!アタシが蓮美だってバレちゃうじゃないのよっ!!


アタシは思わず身を屈めて顔を隠した。

・・・・バレませんように・・・





「あなたが蓮美さん?」


ビクッ!


恐る恐る顔を上げる。

うわっ!
バレたぁぁ!!!

最悪ッ!!

目の前にはにっこり微笑む魔女がいた。
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