桃色☆クローバー
あの後アタシは家に走って帰ってすぐに部屋に入りベッドに飛び込んだ。
はぁ。
疲れた。
泣いている顔なんて誰にも見せたくなくてそのまま帰ってきた。
今は誰にも会いたくない。
「苦しいな」
泣きたくないのに涙が出る。
涙が出るのは悲しいから。
悲しいのは…やっぱり好きだから…
好きなんだって、実感させられてしまう。
気分悪い。
何も考えたくなくて寝てしまいたかったけど、あのキスが頭に浮かんでくる。
あの笑顔は何処へ行ってしまったのか…
あれが先輩の本性…?なんだよね。
ショックだなぁ…
枕に顔を埋めてみてもやっぱりグルグル考えちゃって仕方ない。
はーぁーー。
大きなため息を吐いて苦しさから逃れようとするけど胸の痛みは一向になくならない。
ふと顔を上げて鏡に映る自分を見た。
ハッとした。
なんじゃこりゃぁ!!
泣いた所為で目がパンダだし涙で頬に髪の毛が張りついてるし。
汚い・醜い・不細工…
いくら悲しいからってこんなんじゃダメだ!!
「お風呂はいろ。」
「ただいまぁって桃?」
部屋を出ると清矢がいた。
「あぁ、清矢〜おかえり」
この子はアタシの弟で一個下の中3。
遊び回っていて不良。
「桃もしかして泣いた?」
え?なんでわかるの?
ってわかるかぁ、この顔じゃ。
他人にこんな姿見られたら恥ずかしくてたまらなく嫌だけど弟だからね。
気にしない。
「うん」
アタシは素直に返す。
「桃、学校でいじめられちゃったの?」
「うん」
「そっか、そっか。」
優しくアタシを抱き締める清矢。
清矢は一個下だけどアタシなんかより全然しっかりしてるし弟っていうよりお兄ちゃんみたいだ。
アタシの頭を優しく撫でてくれる。
「お風呂行くん?」
清矢の問いに抱き締められたままコクンと頷く。
「いってらっしゃい」
ニッコリ笑顔でアタシを離して見送る清矢。
ほんとお兄ちゃんみたい。