桃色☆クローバー
「桃ちゃんの隣座っちゃお〜」


ふっと解かれる呪縛。


しげくんが陽気にアタシの隣の席に座ってくれたおかげでアタシは解放された。


先輩のほうを見ないようにして座りなおしてお弁当に集中することにした。


可愛そうなたこさん。
仕方ない、もう無いんだから諦めよう。


お箸を握りなおして大好きな唐揚げを掴んだ。


「あ、間接キス」


!!!!?!!!

あまりの衝撃に固まるアタシ。


だ、だってだって、間接キスとか言うんだもん!


先輩はアタシの耳元で小さく囁いたのだ。


たぶんみんなには聞こえていないだろう。


さっきは気付かなかったけどこの前お見舞いにきてくれた先輩達もいたみたいでいつの間にかアタシ達の座っているテーブルに座ってご飯を食べていた。


耳元で囁いた口はもう無くて先輩は自分のご飯を食べている。


アタシ…からかわれてる?


て言うか馬鹿にされてます?


「アタシ、ウィンナー大好物なんだよねぇ」


ポツリ呟いてみる。


「やらしいなお前」


!!!


何それ!
むかつくぅうう!!


アタシは馬鹿にされていると判断した。


先輩を見ないように負けじと続けた。


「やらしいって言うほうがやらしいし!」


「…」


アタシの言葉は聞こえているはずなのに無言の先輩。


勝った!


そう思った矢先、


「早く食えば?」


………


何も言えなくなってしまった。


お箸使ったらまたからかわれちゃう!


そんなのむかつく!


アタシはどうしたもんかと悩む。


お箸を借りてこようかと思った。


でもそんなことしたらきっと間接キスぐらいでとか意識しすぎとか言われるに違いない。


どうしよう……


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